義歯(入れ歯)の洗浄方法について
義歯の汚れ
義歯(入れ歯)は毎食後に洗浄しましょう。義歯の汚れは食器と同様に、油っぽい食事をすれば油汚れがつきます。コーヒーやお茶を飲めば着色します。線維性のものであれば、細部に引っかかることがあります。箸やお皿を毎食洗うように、義歯もしっかり洗います。
食べ物の汚れに加えて、義歯には歯と同じようにプラークがつきます。義歯のプラークを放置すると、細菌が繁殖し、口臭のもととなるばかりか、食事のたびごとに細菌を食べることになり、誤嚥性肺炎等の原因にもなります。外出先での食事などですぐに歯を磨けないこともあるとは思いますが、自宅での食事の後は、義歯を外して洗浄する習慣を付けましょう。
義歯の洗い方
- 道具を準備します。
- 義歯用ブラシ
普通の歯ブラシでも可能ですが、義歯用の歯ブラシの方がコシが強く、毛先も長めで使いやすくなっています。 - 流しに水を張る
義歯は落とすと割れてしまいます。陶器の流しで破損が多いので、数センチほど水を張っておきます。流し用のマットを敷いても良いです。 - 中性洗剤
油分は洗剤を使った方が落としやすくなります。 - 義歯用洗剤
カンジダ菌等の殺菌作用や、漂白作用があります。
- 義歯用ブラシ
- 中性洗剤と義歯用ブラシで細部に入り込んだ汚れを落とします。
このステップが一番重要です。
義歯に付いた「プラーク」を除去します。プラークは食べ物と細菌の混ぜ合わさったものです。これは食事直後に付いてしまいます。
人工歯と人工歯の間、金具の隙間なども丁寧に落とします。プラークが義歯に付いたままにしておくと、プラークにプラークが重なり、細菌が繁殖します。繁殖した細菌は口臭や歯周病、う蝕(虫歯)の原因になります。 - 洗剤をしっかりすすぐ。
中性洗剤は泡切れもいいので、ブラシで洗いながらすすぎます。 - 水中に保管する。(洗浄剤)
就寝時には乾燥しないよう、水中で保管します。水は毎回交換してください。義歯用洗浄剤を使用する場合はこのときに使います。義歯は、乾燥と湿潤を繰り返すと義歯が変形してしまいます。
粘膜面の血流が阻害されるため、義歯を装着したまま就寝しないでください。(歯科医師の指示がある場合を除く)
義歯の洗浄に関するよくある質問
- 洗浄剤は毎回つかってるんだけど・・・
表面についたプラークは粘着性があり、義歯洗浄剤の発泡作用では取れません。薬剤の殺菌作用も表面のプラークを落とさない限り効果はありません。あくまでも洗浄剤は補助的なものです。 - 歯磨き粉を使ってもいい?
歯磨き粉には研磨成分が入っているため義歯に対しては使用しないでください。義歯は歯よりも柔らかいアクリリックレジンでできているため、細かい傷がついてしまいます。 - 義歯を入れたまま歯磨きしています。
義歯は必ず取り外して磨きましょう。通常の歯に比べて義歯は複雑な構造をしています。義歯と粘膜の間や、部分入れ歯の金具周囲のプラークは義歯を装着したままでは落とすことができません。残ったプラークは歯周病、う蝕(虫歯)の原因になります。 - どんな洗浄剤がいいの?
いろいろなメーカーから商品が出ています。部分入れ歯用や酵素入りなど、成分には若干違いがあります。部分入れ歯用の洗浄剤は金属を変色させないように工夫がされています。酵素や次亜塩素酸などで、漂白作用を持つものもあります。柔らかい樹脂を浸食してしまうものもありますので、不明な点は歯科医師にご相談ください。
おわりに
義歯の最大の利点は外せることです。取り外してよく観察し、清潔を保ちましょう。また、ヒビや割れがあった場合はすみやかに歯科医院を受診しましょう。