生えてきた大人の歯にツノのようなものがある(中心結節)
歯のツノ?
小学校高学年になり、奥の乳歯が抜けたころに、保護者の方には一度確認してほしいことがあります。生えてきた大人の歯のうち、下顎の第一小臼歯(前から4番目、犬歯の1つ奥の歯)、第二小臼歯(前から5番目、犬歯の2つ奥の歯)の形です。大きな六歳臼歯(第一大臼歯)と、犬歯のあいだに生えてくるの2本の臼歯です。
この歯には「中心結節」というツノのようなものが、何%かの確率で存在します。中心結節は、このまま歯が伸びて上の歯とかみ合うと、折れてしまうことがあるのです。
中心結節が折れてしまった場合、歯の神経(歯髄)が露出してしまいます。場合によっては、大きな虫歯と同じような痛みがでて、神経をとらなければいけないこと(抜髄など)もあります。
かみ合う前に気がつけば、中心結節が折れないように補強をしたり、歯髄が露出しない程度に少しずつ削ったりすることで、神経の治療をするような事態を予防をすることができます。歯科医院を受診するときは、中心結節などという言葉を使わなくても、「生えてきた大人の歯にツノのようなものがある」といえば、伝わると思います。
小学校高学年になると、仕上げ磨きをやめてしまうことも多く、歯磨きも管理も任せきりになってしまうことが多いのですが、お子さんの歯の形や虫歯の様子など、定期的に確認してください。
もう少し詳しく・・・
中心結節は下顎の第一小臼歯、第二小臼歯に限らず、上下全ての臼歯で発生する可能性がありますが圧倒的に下顎の小臼歯に多くみられます。発生頻度は研究報告によって異なりますが、下顎第二小臼歯が1~3%、下顎第一小臼歯が0.5~1%程度で、他の臼歯はもっと低い頻度です。左右同じ歯の両方に存在することが多いようです。東アジア系の人種に多いという報告もあるようです。
通常の歯の場合、歯が欠ける程度であれば、歯の神経(歯髄)まで穴が空くことは少ないのですが、中心結節には細い神経の管が入っていることが多く、折れると針の穴のように穴があいてしまいます。
折れても痛みが出ないこともあり、気がつかないうちに歯髄が感染し(不顕性露髄)、何年か後で歯茎の腫れ(根尖性歯周炎)となって気がつくこともあります。